個人間の借金において借用書がない場合の時効は?
個人間でお金の貸し借りを行った場合であっても、「返還の合意」と「金銭の引き渡し」があったとき、金銭消費貸借契約が法律上成立することになります。
金銭消費貸借契約が成立すると、貸主側には金銭返還請求権が発生し、借主には返還の義務が生じます。
金銭返還請求権のような債権は、消滅時効にかかり消滅することがあると、民法上では定められています。
このページでは、個人間の借金において、借用書がない場合の時効についてご紹介します。
個人間の借金で借用書がない場合の時効について
民法上は以下のように規定されています。
「債権は、次に掲げる場合には、時効によって消滅する。
一 債権者が権利を行使することができることを知った時から五年間行使しないとき。
二 権利を行使することができる時から十年間行使しないとき。」(民法166条1項)
なお、消滅時効に関する上記規定は改正があったものであり、改正前は、権利を行使することができる時から十年間行使しないときに消滅時効が完成するとしか定められていませんでした。
2020年3月31日以前に成立した借金については、改正前の規定が適用されます。
では、借用書が作成された場合と作成されていない場合で時効に影響はあるのでしょうか。
この点、理論的には、両者に時効の違いはありません。
すなわち、金銭消費貸借契約の成立やその内容が借用書の作成によった場合であっても、借用書を作成しなかった場合であっても、双方の意思の合致によって決まるものであり、借用書は、契約の存在と内容を明確にしたものにすぎません。
もっとも、借用書の作成がない場合、すなわち口約束ということは、返還日を明確に定めることなく、契約が成立しているケースが多いでしょう。
返還日の合意がない場合には、金銭の返還請求はいつでもできます(厳密には、借主に対して催告をして、相当期間経過後に返還請求をすることができます)。
一方で、返還日の合意がある場合には、返還日の到達時点から返還請求をすることができます。
つまり、返還期の合意がある場合、時効の起算点は、返還期となり、2020年3月31日以前の借金であれば10年間、同日以後の借金であれば5年間で消滅時効が完成します。
一方で、返還期の合意がない口約束の場合には、借金をした日が時効の起算点となります。
同様に、2020年3月31日以前の借金であれば10年、同日以後であれば5年で時効が完成することとなります。
借用書の作成がない場合には、そもそも金銭消費貸借契約の締結があったのかどうか、いくら借りたのか、いつ返還することとしたのかが不明確になります。
そのため、いつ消滅時効が完成するのか明らかではなく、当事者としては予期せず権利行使ができなくなる可能性があります。
そのため、トラブルを避けるために借用書の作成を行うことは重要ですが、個人間の金銭消費貸借契約では、借用書を作成しないことも多いでしょう。
金銭トラブルに発展する可能性を感じた場合には、早めに弁護士に相談することをお勧めします。
金銭トラブルにお困りの方は原田法律事務所までご相談ください
以上のように、借用書の作成のない金銭消費貸借契約であっても、5年、あるいは10年で消滅時効が完成します。
借用書の作成がないため、紛争に発展するケースも多いでしょう。
貸主としては、時効の完成猶予や更新のための手段を採ることが可能な場合があります。
契約締結時はもちろんのこと、契約締結後であっても、将来予想されるトラブルに備えて早めに弁護士に相談することをお勧めします。
東京・新宿 男女トラブル・詐欺 相談センター(運営:原田法律事務所)では、「債権回収」や「金銭消費貸借契約」などの「金銭トラブル」についてのご相談を承っております。
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