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結婚詐欺に遭った場合に相手方へ請求できることとは?

結婚詐欺の被害に遭った際には、騙し取られた金銭や受けた精神的苦痛に対して、相手方へ法的な責任を追及することが可能です。

今回は、結婚詐欺に遭った場合に相手方へ請求できることや、賠償請求をする方法などについて解説します。

結婚詐欺とは?

結婚詐欺とは、本来は結婚する意思が全くないにもかかわらず、相手方に結婚を意識させて金品を騙し取ったり、不当な経済的利益を得たりする行為をいいます。

多く見られる手口としては、将来の結婚資金や住宅購入資金としての貯蓄、親の病気の治療費、あるいは自身の事業の立て直し資金などといった名目で多額の現金を要求することが挙げられます。

結婚詐欺を立証するためにすべきこと

結婚詐欺を法的に立証するためには、相手方が当初から騙すつもりであったという故意性を証明しなければなりません。

故意性の証明は、刑事事件として警察に動いてもらう場合と民事訴訟で金銭の返還を求める場合の両方において重要な判断基準となります。

結婚詐欺の立証のために必要となることは、主に以下の4つです。

 

  • 加害者が嘘をついたという欺罔行為の事実
  • 加害者の嘘によって被害者が錯誤に陥ったこと
  • 被害者が加害者に対して財産を渡したこと
  • 一連の流れに因果関係が認められること

 

上記の事実を証明するためには、次のような証拠の収集が欠かせません。

相手方とのやり取りの履歴

相手方とのやり取りの履歴は、有力な証拠となります。

結婚の約束に関する内容やお金を要求する理由が記されたメッセージは、すべて保存してください。

金銭の移動を示す客観的な記録

結婚詐欺によって相手方に現金をだまし取られた場合、銀行口座の振込履歴やクレジットカードの利用明細は現金の流れを示す証拠となります。

手渡しで現金を渡した場合は、ATMでの出金記録や手帳のメモ、あるいは相手方への確認のメッセージなどが補完的な役割を果たすことがあるため、これらを保存しておくことが推奨されます。

相手方の身元の虚偽を示す資料の収集

相手方が提示していた名刺や社員証のコピーなど、語っていた経歴が嘘であることを示す証拠を揃えます。

たとえば、一流企業の社員だと名乗っていたのに実際には在籍すらしていなかったという事実は、相手方の人間性や詐欺の意図を裏付ける重要な事実となります。

探偵や調査会社による調査報告書も、相手方の所在や真実の姿を明らかにするために有効な手段です。

音声データの録音

直接会って話し合う機会があるならば、その会話を録音しておくことが有効です。

相手方が自分の嘘を認めたり金銭の借用を認めたりする発言が録音されていれば、裁判における証拠となります。

結婚詐欺に遭った場合に相手方へ請求できること

結婚詐欺の被害に遭った場合に相手方に対して請求できることとして、以下が挙げられます。

貸し付けた現金の返還

結婚詐欺であったことが立証できれば、相手方に貸し付けた現金の返還が求められます。

相手方が贈与であると主張したとしても、前提としていた結婚が偽りであったのならば、贈与の効力が否定されます。

結婚準備のために支出した費用

結婚詐欺に遭った場合、結婚準備にかかった費用について損害賠償を請求できます。

たとえば、結婚式場の予約金やキャンセル料、ウェディングドレスの購入代金、新居を借りるための仲介手数料や礼金などが該当します。

これらは相手方が嘘をつかなければ発生しなかったはずの損害であり、詐欺行為と密接な因果関係があるものとして認められやすい項目です。

新生活のために購入していた家具や家電などの購入費用についても賠償の対象となり得ます。

精神的苦痛に対する慰謝料

結婚詐欺によって被害者が受けた精神的な苦痛に対する慰謝料を相手方に請求することができます。

具体的な金額は、交際期間の長さや騙し取られた金額、相手方の悪質性によって変動することになります。

賠償請求に要した弁護士費用

結婚詐欺被害に対して慰謝料などを求める民事裁判を起こした場合、手続きにかかった弁護士費用の一部を損害賠償として相手方に請求できる可能性があります。

なぜなら、結婚詐欺のような不法行為に基づく損害賠償請求においては、弁護士費用も相手方が引き起こした不法行為による損害であると認められるためです。

ただし、かかった費用をすべて相手方に支払わせることができるわけではありません。

裁判で認められた慰謝料などの総額の10%程度が、弁護士費用相当額として判決で上乗せされることが一般的です。

結婚詐欺に遭った場合に相手方に賠償を請求する方法

結婚詐欺に遭った場合に相手方に賠償を請求する方法は、以下の通りです。

内容証明郵便による通知

結婚詐欺による損害賠償や慰謝料を請求する場合、まず自身の主張と具体的な請求金額、支払期限を明記した内容証明郵便を相手方に送付します。

内容証明郵便とは、郵便局が「いつ、どのような内容の手紙を、誰が誰に送ったか」を証明する制度です。

示談交渉

内容証明郵便に対して相手方から何らかの反応があった場合、裁判外での話し合いである示談交渉を行うことが一般的です。

このとき、合意した内容については書面に残すことが重要です。

強制執行認諾文言付公正証書として示談書を作成すれば、賠償金の支払いが滞った場合に裁判を経ずに相手方の財産を差し押さえることができます。

民事調停の申し立て

示談交渉で相手方との合意に至らない場合には、裁判所での調停を利用します。

調停では、調停委員が間に入り、双方の主張を聞いて解決案を提示してくれます。

調停は訴訟に比べて費用が安く、精神的な負担も比較的軽いというメリットがあります。

しかし、相手方が調停に出席しなかったり合意を拒否したりすれば成立しないため、相手方に誠実な姿勢がない場合には不向きです。

民事訴訟の提起

調停の成立が難しい場合には、民事訴訟を提起することになります。

裁判では、裁判官が証拠に基づいて法的な観点から賠償金の支払いの可否と金額を判断し、判決を下します。

勝訴判決を得られれば、それに基づいて相手方の財産を強制的に差し押さえる強制執行が可能となります。

判決を得るまでには通常1年程度の期間を要し、証拠の精査も厳格に行われるため、事前の準備が重要です。

また、相手方が財産を隠匿したり逃亡したりしている場合には、判決を得ても実際に回収できないリスクがあります。

結婚詐欺に遭った場合に相手方へ処罰を課す方法

結婚詐欺を行った相手方に対して法的な処罰を望む場合は、刑事上の手続きをとることになります。

まず、管轄の警察署へ出向いて結婚詐欺の被害に遭った事実を報告し、被害届を受理してもらうことで事件としての記録が残ります。

しかし、警察は民事不介入の原則があるため、単なる男女のトラブルと判断すると積極的な捜査を控える傾向があります。

そのため、証拠を添えて被害の内容を詳細に説明することが重要となります。

確実に捜査を進めてもらうためには、告訴状を提出することが効果的です。

告訴状とは、被害者が警察や検察に対して犯人の処罰を求める意思表示を行う書類をいいます。

告訴状が受理されれば警察には捜査を行う義務が生じます。

結婚詐欺で警察に告訴を受理させるのは容易ではありません。

しかし、弁護士に証拠の収集や告訴状の作成を依頼することで、受理される確率が高められます。

警察の捜査によって十分な証拠が集まり、逃亡や証拠隠滅の恐れがあると判断されれば、相手方は逮捕されます。

その後、検察官によって起訴され、刑事裁判が始まります。

有罪判決が出れば、相手方には懲役刑などの刑罰が科されることになります。

弁護士に結婚詐欺について相談するメリット

結婚詐欺に遭った際に弁護士に相談することには、次のようなメリットがあります。

法的な判断

自身が結婚詐欺に遭ったと感じても、実際に詐欺の範疇であるのかどうかは判断に迷われることがあるかもしれません。

弁護士に相談することで、法的な観点から結婚詐欺に該当するかどうかを分析できるというメリットがあります。

相手方の身元の特定

結婚詐欺師は、名前や住所を偽っていることが多くあります。

弁護士は照会権限を持っているため、相手方が使用していた電話番号や銀行口座の情報を元に本名や現住所を特定できる可能性があります。

相手方の所在が分からなければ内容証明を送ることも訴訟を提起することもできないため、この特定作業は弁護士に相談する大きなメリットです。

依頼者の負担軽減

弁護士に結婚詐欺について依頼すれば、相手方との連絡をすべて任せることができます。

これによって、依頼者の精神的な負担が軽減されることが期待できます。

また、示談交渉においても法的な相場や判例を熟知している弁護士が立ち会い、依頼者に有利な結果を得られるように尽力します。

書類の作成を弁護士が代理で行うことで事務負担が軽くなることも、依頼者にとってのメリットです。

まとめ

今回は、結婚詐欺に遭った場合に相手方へ請求できることや、請求する際の手続きなどについて解説しました。

結婚詐欺によって受けた損害への賠償や慰謝料を請求したり、相手方への処罰を望んだりする際には、適切な証拠収集による詐欺の立証が重要となります。

個人で結婚詐欺の立証が難しいと感じられた場合や、賠償請求の手続きに迷われた場合には、弁護士に相談することを検討してください。

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弁護士 原田 勉 (はらだ つとむ)
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