交際を断った相手からの嫌がらせにはどう対処すべき?
好意を持たれることは本来喜ばしいことかもしれませんが、その思いを受け入れられないと伝えた後、相手から嫌がらせを受けることもあります。
今回は、交際拒否後の嫌がらせの分類や、対する自衛策や、法的手段について解説します。
交際を断った相手からの嫌がらせ行為の分類
交際を断られたことを理由に行われる嫌がらせの内容は、多岐にわたります。
具体的には、嫌がらせとして以下のような行為が挙げられます。
物理的な接触に関連した嫌がらせ
物理的な接触を伴う嫌がらせに分類されるのが、次のような行為です。
- 待ち伏せと立ちふさがり
- 後を追いかける行為
- 見張りと押し掛け
- うろつき行為
- GPS等による位置情報の取得
これらの行為は、ストーカー規制法においてつきまとい等と判断される典型的な事例です。
2021年の法改正により、具体的につきまとう前段階のうろつきや、GPSを用いた無断の位置情報取得も規制の対象として明確化されました。
相手がつきまといの意図がないことを主張しても、反復して行われている実態があれば法的な制止の対象となります。
通信手段を用いた嫌がらせ
近年頻発しているのが、デジタルデバイスを用いた次のような嫌がらせです。
- 連続した電話やメールの送信
- SNSでの執拗なコンタクト
- 無言電話や拒絶後の連絡
送信される内容がどのようなものであっても、拒絶後の執拗なコンタクトはすべて不当な攻撃であると認識されることが多くなっています。
社会的信用の失墜を狙う嫌がらせ
相手を社会的に貶めることを目的とした嫌がらせとして、以下のようなものがあります。
- インターネット上の誹謗中傷
- 職場や知人への連絡
- なりすまし行為
上記は刑法上の名誉毀損罪や侮辱罪、あるいは業務妨害罪に抵触する可能性のある悪質な行為です。
性的尊厳の侵害
交際していたことのある相手だった場合、交際期間中に撮影したプライベートな画像や動画を利用した嫌がらせを受けることがあります。
例えば、次のような行為が性的尊厳の侵害に当たります。
- わいせつな画像の送信・公開
- 性的羞恥心を害する言動
性的羞恥心を害する言動とは、卑猥な言葉を執拗に浴びせたり、性的な嫌がらせを目的とした物品を送りつけたりする行為をいいます。
傷害に当たる行動
嫌がらせが、暴力のような傷害行為に発展することもあります。
傷害には、認められづらくはあるものの、精神的な損害を受けた場合も含まれます。
弁護士が嫌がらせを解決するためにサポートできること
交際拒否を理由とする嫌がらせの被害に遭った際、弁護士に依頼することで解決できる可能性が高まります。
弁護士は法律のプロとして、被害者の権利を守るために以下のような対処をとることができます。
代理人としての窓口一元化
被害者の精神的負担を軽減することを期待されるのが、弁護士による窓口の代行です。
弁護士が受任した時点で相手方に対して本人に接触することを禁止する通知が行われます。
相手から交渉の申し出があったとしても、その対応を弁護士に一任できるため、直接相手と接触する必要がなくなります。
内容証明郵便による警告書の送付
弁護士は、嫌がらせに対する法的な警告書を送付することができます。
国家資格者である弁護士からの警告には、加害者に事の重大さを認識させる効果が見込めます。
この警告は内容証明郵便で行われるため、いつどのような通知が相手に届いたかが公的に証明され、後の裁判での証拠として利用できます。
法的手続きの支援
物理的な接触や過剰な連絡に苦慮している場合には、弁護士を通じて裁判所に接近禁止の仮命令を申し立てることが可能です。
裁判所から禁止命令が出されると、相手が指定された範囲内に近づくことは法的に禁じられます。
これに違反すると相手方には間接強制金という金銭的なペナルティが課せられることになります。
弁護士が嫌がらせの記録を証拠能力のある形に整える役割を担うことで、裁判所からの命令がより迅速に下されるための準備を整えることができます。
慰謝料の請求
交際拒否を理由とした嫌がらせによって被害を被った際、金銭的な対価として慰謝料を求めることが可能です。
法律では、身体的な被害だけではなく精神的苦痛も損害として評価されます。
民法上の不法行為に基づく損害賠償請求では、被害の内容や程度、行為の悪質性、継続期間、被害者の日常生活への影響などを総合的に考慮します。
通院が必要になった場合や、引越しを余儀なくされた場合の費用、さらに休業損害なども損害賠償の対象となります。
弁護士はこれまでの判例を基に、妥当な賠償額を算出し、相手方との交渉を主導します。
ネット上の嫌がらせへの対応
デジタル空間における被害であっても、弁護士が対処できることがあります。
具体的な手段としては、名誉毀損を理由とした削除要請の代理や、匿名で書き込んだ発信者の情報の開示請求があります。
交際したことのある人物が相手で、性的な画像や動画を本人の同意なくインターネットで公開するリベンジポルノの被害を受けている場合には、リベンジポルノ防止法に基づいた罪を問うことができます。
また、それらのコンテンツと引き換えに復縁や金銭を要求された場合には、強要罪や脅迫罪が成立する可能性もあります。
ネット上の情報は拡散が早いため、デジタル空間における嫌がらせには迅速な対応が求められます。
プロバイダに投稿削除を依頼するには権利侵害を正確に主張する必要がありますが、弁護士が代理して請求を行うことで、より円滑に手続きが進む傾向があります。
情報開示請求によって相手を特定したら、損害賠償請求に移行することも可能です。
刑事告訴の支援
弁護士は、相手を刑事罰に問うための告訴状の作成をサポートします。
刑事告訴をするために必要となる告訴状には、法律の構成要件を満たした厳格な記述が求められます。
弁護士が介在することで、警察が事件として受理しやすい論理的な書類を作成でき、真摯な捜査へと繋げる後押しができます。
自分ひとりで嫌がらせに対処しようとすることのリスク
交際を断った相手からの嫌がらせに対して自分ひとりで対処しようとすると、事態が悪化したり自分が不利な状況に立たされたりするリスクがあります。
具体的には、以下のような可能性があることに注意してください。
相手の行動を過激化させるリスク
嫌がらせをしてくる相手との対話は避けることが賢明です。
拒否する内容であっても、加害者は要求が叶えられたと感じて、さらなる反応を得るために接触頻度を上げるリスクがあります。
また、当事者間の会話では攻撃性の高い言葉が選ばれがちな傾向にあります。
それによって相手の被害者意識を不当に高め、行動をさらに過激化させる恐れがある点は無視できない要素です。
不利な状況を招くリスク
嫌がらせをされた被害者がとる行動は、後に法的な救済を受ける際に自分を不利な立場に置くことがあります。
相手の暴言に対して同様の言葉で言い返してしまうと、裁判所から双方に非がある喧嘩だとみなされるリスクが生じます。
また、相手の動向を把握しようとして相手の敷地に無断で入ったり、スマートフォンのデータを不正に見ようとしたりする行為は、被害者自身が訴えられる原因になります。
暴力を誘発させるリスク
嫌がらせに自分で対処しようと加害者に直接対面すると、身の危険にさらされる恐れがあります。
特に、第三者のいない場所で相手と会うことは非常に危険な行為だといえます。
嫌がらせの法的な解決に向けて準備すべき証拠
弁護士と連携して法的な解決を目指す中で、客観的な証拠は重要な役割を果たします。
そのため、以下のような記録を証拠として残しておくと役立ちます。
被害内容を記録した日記
嫌がらせを受けた証拠として、いつ、どこで、誰が、どのような行為をしたのかを正確に記録した日記を作成してください。
正確な日時の記録と、その時の自分の心身の状態を併記することが有効です。
精神的苦痛は目に見えにくいため、受けた被害を証明することが難しく感じられるかもしれません。
日記に具体的な出来事と心身の変化を記録しておくことで、嫌がらせによって被った精神的苦痛の存在を立証できる可能性が高まります。
デジタルデータの確実な保存
嫌がらせを受けている相手からのメール、SNSのダイレクトメッセージ、着信履歴は、保存しておくことが重要です。
画面のスクリーンショットを撮影し、さらに別のデバイスやクラウドサービスにバックアップをとることを推奨します。
特に、SNSのメッセージは相手が送信を取り消すと閲覧できなくなる恐れがあるため、届いた時点で記録をとる習慣をつけるとよいでしょう。
録音・録画データの活用
無断で録音することに抵抗を感じる方もいるかもしれませんが、被害を守るための秘密録音は嫌がらせの証拠として認められる傾向にあります。
待ち伏せされた際のやり取りや、電話越しの暴言をボイスレコーダーで記録しておくことは、加害者の行為を立証するために効果的な手段となります。
まとめ
今回は、交際を断った相手からの受ける嫌がらせの分類や、その対処法について解説しました。
交際拒否を理由とした嫌がらせに自分で対処しようとすることは、多くのリスクを伴います。
また、嫌がらせを解決するための手段には、専門的な知識が必要となることも多くあります。
嫌がらせをされて困っている場合には、弁護士に相談してください。
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