貸したお金が返ってこない場合にやってはいけないこととは
お金が返ってこない場合に、個人で対処をしようとして失敗してしまうケースが多数あります。
例え正当な権利行使であったとしても、度が過ぎてしまうと犯罪となってしまうことがあるからです。
本記事では、相手がなかなか返済をしてくれないときに、やってはならないことをいくつかご紹介していきます。
◆度を越した取立行為
債権回収のためにさまざまな手段を講じた結果、恐喝や詐欺、脅迫となってしまうケースがあります。
基本的に債権者は取立行為を正当行為として行うことができますが、度を越したものについては、犯罪が成立してしまう可能性があります。
例えばなかなかお金を返さないからと言って強い口調で返済を迫ったり、暴行をしてしまった場合には、恐喝や脅迫といった犯罪が成立してしまいます。
これは過去に判例があります。
大連判大2・12・23では、「法律上正当な権利のある者が、これを実行するに当たり、その範囲を超過した場合には、原則として、正当な権利の範囲外において領得した財産または利益の部分についてのみ恐喝罪が成立する」という判断がなされています。
また、返済が遅れたからといって、利息の範囲を大幅に超える遅延損害金等を相手に支払わせた場合には、詐欺罪が成立してしまう可能性もあります。
こちらも上記と同様の判例にて判断されたものであり、権利の範囲外となっている部分につき詐欺罪が成立するといったものです。
さらに返済をしない債務者に対して、本人や家族、周囲の人などに危害を加える旨を告知した場合には、脅迫罪となってしまいます。
また、金銭の貸し借りがあった際に相手の勤務先を把握している場合もあります。
これ自体は問題ないのですが、相手の勤務先を把握する理由としては、相手がどうしても返済をしない場合に給与債権を差し押さえるためであり、勤務先に対して返済を求めたりするためではありません。
会社に対して債務者がお金を返さない旨を伝えてしまうと、名誉毀損罪が成立してしまったり、会社に押しかけて債務者の業務を邪魔してしまうと、威力業務妨害罪が成立してしまう可能性があります。
◆債権回収のための行動を何もしない
上記では度を越えた債権回収行為は犯罪に該当するといった説明をしましたが、何もしないことも悪手となります。
債権には必ず消滅時効というものがあります。時効が成立してしまうと相手は返済義務を免れることとなります。
しかし消滅時効は常に更新することが可能であり、電話やメールで返済を促したりするだけでもある程度の効果を見込むことができます。
相手が電話やメールに応じて「返済する」といった旨の内容を伝えた場合には、この時点で債務を承認したとして、その日から時効が更新されることとなります。
このように督促を全くしておらず、いざ返済を迫ったときに時効が成立してしまっていると元も子もないため、しっかりと相手には返済の確認をしておくことをおすすめしています。
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